日本土木工業協会(土工協)や全国建設業協会(全建)など五つの建設業団体は、公共調達制度の改善に関する提案をまとめ、超党派の国会議員で構成する「公共調達適正化研究会」にそれぞれ提出した。元請業者の団体からは、予定価格のあり方について、「標準的な価格」という位置付けに見直すとともに上限拘束性を撤廃するべきだとの要望が相次いだ。2段階選抜方式の原則実施を求める意見も強かった。土工協は、国際標準に沿った新たな入札契約方式を可能とする「(仮称)公共調達基本法」の制定を提案。全建は、災害対応や除雪など地域保全の工事を対象に指名競争を行う「地域保全型入札制度」の創設を求めた。
同研究会は、公共調達の適正化を図る新法制定の参考とするため、業界団体に具体的な改善提案を求めていた。対象は、土工協、全建のほか、日本道路建設業協会(道建協)、日本橋梁建設協会(橋建協)、建設産業専門団体連合会(建専連)の計5団体。各団体の提案内容は、1日に開かれた会合で報告された。
土工協は、「予定価格制度」や「一般競争入札の原則」を前提としない入札契約を可能にするため、公共調達基本法の制定を提案。予定価格制度の撤廃や2段階選抜方式の採用に加え、2封筒方式やパートナリング方式、アライアンス方式といった交渉方式の導入を具体策に挙げた。低入札価格調査の基準額引き上げなども要望。一般管理費と現場管理費の下限値を100%に引き上げるべきだとした。能力を超えた受注を防止するための「施工能力点」の導入や、技術評価点の拡充も盛り込んだ。
全建は、真の競争性を確保するため、多くとも2〜5社による競争環境をつくることが必要だと指摘。1億円程度より規模が大きい工事は、ヒアリングなどで入札参加者を絞り込む2段階選抜方式の導入を提案した。予定価格から標準価格への移行や、国と地方の役割分担の明確化、発注者と受注者を仲介する第三者機関の設立なども求めた。維持工事や除雪業務などでの複数年契約の実施も必要だとした。
道建協は、2段階選抜方式を原則化するとともに、予定価格を標準的な価格と位置付け、業者側の提案内容によっては標準価格以上での契約も可能とする仕組みの採用を求めた。橋建協は、橋梁建設業のグランドデザインの提示や、安定的な事業量の確保を要望した。
建専連は、ダンピングが発生しにくい競争環境の整備を求めたほか、零細建設業者と大手建設業者が同じ基準になっている建設業の許可要件を見直すことなどを要望した。