超党派の参院議員で構成する「公共調達適正化研究会」に、業界団体から入札契約制度の改善に関する提案が相次いでいる。背景には、公共事業の大幅削減で低価格競争が常態化し、個々の企業体力が限界に近づいている実態がある。現在、国土交通省の建設産業戦略会議でも産業構造の抜本見直しが進む一方、今冬の記録的大雪に伴う除雪や鳥インフルエンザ問題への対応などで、建設業の社会的役割が見直されつつある。今こそ業界が声を上げ、産業の継続的発展に向けた本格的な議論を喚起する好機といえそうだ。
同研究会は、参院国土交通委員会のメンバーを中心に、公共調達のあり方に問題意識を持つ11人の議員で構成。昨年12月28日の初会合から3回の会合を開いた。現場の実態は発注者より業界の方が分かっているとして、業界団体へのヒアリングを重ねている。
既に全国建設業協会(全建)、日本土木工業協会(土工協)、建設産業専門団体連合会(建専連)、建設コンサルタンツ協会(建コン協)、全国測量設計業協会連合会(全測連)、全国地質調査業協会連合会(全地連)など10団体へのヒアリングを実施。うち5団体には制度改善に関する具体的提案・要望も求めたところ、各団体から公共調達基本法(仮称)の制定や、地域保全型入札制度、二段階選抜方式の採用、PPPによる包括的維持管理契約に向けた制度改革など、踏み込んだ内容が示された。タブー視されていた予定価格の上限拘束性を見直すべきだとの意見も目立つ。
研究会は、来週にも会合を開き、公正取引委員会や会計検査院、土木学会などにもヒアリングを行う考えだ。
これを踏まえ、会計法や地方自治法の枠組みにこだわらず、建設産業が衰退して技術力が失われることのないような公共調達の枠組みを議員立法で法制化することを目指す。
国交省の戦略会議も、過剰供給構造の是正など産業構造の抜本見直しに向け、別途、業界団体へのヒアリングを行う。公共事業の削減が続く中、建設業界が今後も継続的に発展していけるよう、業界自ら積極的に主張・提案して議論する機は熟している。