第197回国会 参議院 予算委員会 議事録
2018年11月5日(月)
 
本日の会議に付した案件
◇平成三十年度補正予算二案審査
◇政府参考人の出席要求に関する件

委員長(金子原二郎君)

次に、佐藤信秋君の質疑を行います。佐藤信秋君。

佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋でございます。

今日は災害と強靱化と主にして伺いたいと思いますが、最初に、この度、頻発する災害でお亡くなりになられた皆様と被災された全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

そして、そうした事態に対応して、政府はいち早く予備費使っていただきました。予備費で対応する、緊急対応をする、そして補正予算を速やかに組むと、こういう流れだと思っております。

最初に、予備費で幾らぐらいお使い、今まで支出決定していただいたか。そこを財務省の方から、財務大臣でよろしいんですかね、予備費で幾ら、総額。財務大臣、予備費、総額、使った。

国務大臣(麻生太郎君)

今御指摘をいただきましたけれども、平成三十年度の七月豪雨、台風関係含めまして、北海道胆振東部地震、また台風二十一号、二十四号等々ありましたけれども、今御指摘ありましたように、直ちに予備費というのを使わせていただいておりますので、水とか食料とかいった、そういった直ちに必要なような食料とかそういったものを含めまして、そういったものに、不可欠なものには直ちにお届けすることができております。また、瓦れきとか土砂の処理含めまして、中小企業、農家の営業再開へのいろんなものに関しましても、これは観光風評被害への対応を含めまして二次災害防止というものが必要になりますので、そういったものにつきましても累次にわたって予備費を使わせていただいて、その総額一千八百五十三億円となっております。

麻生太郎議員

佐藤信秋君

今、財務大臣から大事なお話をいただきました。プッシュ型の支援、これ実は熊本地震以来だったと思います。要は、政府は何をしているかと、こう災害救助のフローを考えてみますと、災害救助法で知事が引き取る。知事引き取っていろいろまとめますけど、報告が来るまでなかなか政府動けないというのが今まででした。

熊本地震以来、プッシュ型支援ということでやっていただいていると思いますが、防災担当大臣、どのぐらいの費用でどうした内容をやっていただいたか、お話をお願いします。

佐藤信秋

国務大臣(山本順三君)

ちょうど二年半前ぐらいでありましたけれども、熊本で大きな地震が起こりました。石井大臣の下で、私、副大臣しておりましたけれども、おっしゃるように、プッシュ型支援というのがそのとき大々的に始まったというふうに思っております。

このプッシュ型支援とは、発災当初、地方自治体からの要請というもの、具体的なその要請を待たずして必要不可欠と見込まれる物資、言わば人命に関わるような必需品を国が調達して、そしてそれを被災地に緊急輸送するというような、そういう制度でございました。少々の重複は避けてでもやろうというような、そんな強い意思でスタートしたように思い出しました。

平成三十年七月豪雨の場合でありますけれども、このプッシュ型支援に係る予備費は二十億円、水、食料、クーラー、あるいはまた仮設トイレやら段ボールベッドやらいろんなものに使っておりますけれども、こういった被災者の命と生活環境に不可欠な物資をこれは国が全額負担して、そして全額国費で調達、そして緊急輸送するということでございます。

北海道の胆振東部地震の場合でございますけれども、このプッシュ型支援に係る予備費は五億円でございました。この五億円を活用して、水、食料等々の被災者の命と生活環境に不可欠な物資を先ほどと同じように国が全額国費で調達をして、そして被災地まで緊急輸送したというところでございます。

山本順三議員

佐藤信秋君

今のところが大事なところだと思っています。

どうしても災害救助法で物資を送ろうと、こうなると地方の知事の負担が出ます、市町村から引き取ってですね。すると、県の財政部局、都道府県の財政部局はどのぐらいの費用が必要かというので手が止まります。そうすると、あっという間に二か月、三か月掛かるんですね。ここを今回は、熊本地震も含めて、随分早く、素早くやっていただいている。これは、何より国がしっかり応援するんだぞと、こういう姿勢が表れている。大事なことだと思いますので、これからも是非続けていっていただくようにお願いします。

そして、総理は九月の二十一日に重要インフラの緊急点検を指示されました。十月二日には、近年の集中豪雨、気温上昇など気象の急激な変化に対応した、全国的に、河川の改修とか治水とか砂防対策、ため池改良、熱中症予防、こうした防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を実施することにすると、こう閣議で方針を決めていただいた。

これは是非、この対策、緊急対策、点検した、緊急対策打つぞ、そうしたら、この事業の方は何年ぐらいで、まあ三年間と、こうなっていますけど、事業内容、どんなふうなものをどのぐらい事業費ベースでということを是非お決めいただきたいと思いますが、総理にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

近年、災害が激甚化する中、国民の命を守る防災・減災、国土強靱化を進めることは、我が国の政治、経済、社会にとって重要かつ喫緊の課題であると痛感をしています。そのため、現在、インフラの総点検を御指摘のとおり進めておりまして、政府としては、その結果などを踏まえて、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年集中で実施していくこととしております。

この緊急対策については、委員の御指摘も踏まえまして、実効性のあるものとなるように取りまとめてまいりたいと考えております。

安倍内閣総理大臣

佐藤信秋君

ということで、どのぐらいの事業をやろうと、こういうようなことも是非内容にお含めいただければと思います。

この緊急点検もそうですが、国土の強靱化という意味ではやらなければいけないことが山のようにあると。重点項目だけでも四十五項目、今緊急点検していただいている分が百三十項目になっていると思います、百三十項目。これをやっていこうとすると三年間では限度がある。実効性のあるものをやっていこうと、さらに強靱化という面で長期的に計画的にやっていかないといかぬだろうと、こう思っていまして、どこの国でも実は長期計画を持っているんですね、五か年計画、十か年計画。強靱化の場合にも、是非、どのぐらいの年数で、これぐらいの達成目標はやっていくぞというようなことをお決めいただく方向が有り難いなと思いますが、総理、いかがでしょう。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

国土強靱化を長期的そして計画的、着実に進めるべきという御指摘は、そのとおりだろうと思います。

現在進めているインフラの総点検の結果を始め、これまで培ってきた経験や教訓を踏まえまして国土強靱化基本計画を年内に見直し、中長期的な目標や方針を明らかにすることとしています。この新たな基本計画の下、緊急対策の実施に当たり、消費税対応に係る二〇一九年度及び二〇二〇年度に講じる臨時特別の措置を活用することを始め、必要な予算を確保した上で国土強靱化の取組を更に加速化、深化させていくことにより、強靱なふるさと、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げてまいりたいと思います。

佐藤信秋君

ありがとうございます。是非しっかりとお取り組みいただきたいんですが。

ここで、国土交通大臣に、事前防災の効果について、実は余り知られていないことなので、ちょっと資料も用意しました、パネルも用意しました。(資料提示)

台風二十一号で、実は、資料でいえば四なんですけど、台風二十一号で大阪湾の潮位、高潮の潮位が昭和三十六年の第二室戸台風よりも四十一センチ高くなっている、四十一センチ。それで、災害、もちろん災害は出ましたけれど、浸水被害があったか。実は、堤防をきちっとして住宅の中に入り込まない、宅地に入り込まない、市街地に入り込まないと、こういうような対策ができていたので実はセーフだったと。千五百億円ぐらいを投資したんですが、累計、計算によれば、大体十七兆円ぐらいの効果があったんじゃないかと、こういうふうに言われてもおりまして、大変な感謝を大阪市、大阪府の皆様からいただいているところですが、事前防災のこういう効果という点について、国土交通大臣、ひとつ大きな声でお願いします。

佐藤信秋

○国務大臣(石井啓一君)

本年の台風第二十一号は、大阪湾の最高潮位が既往の第二室戸台風を大幅に上回る潮位でございまして、そのために関空が大きな被害を受けたわけですが。

一方、第二室戸台風の際には、大阪市内を始めとしまして大変な浸水が起こりまして大きな被害が生じた一方、その後の高潮対策をやったおかげで、本年の台風二十一号ではほとんど浸水被害はなかったということで、近年の災害では、インフラが整備をされ、かつ維持管理をされてきた箇所での被害は小さく、インフラが未整備又は整備途上の箇所では被害が大きかった事例が多数確認をされております。

こうしたことから、事前の防災対策が非常に重要と認識をしておりまして、その効果としては、第一に、被害を大きく軽減でき、特に人命を守ることにつながる、第二に、被害後の復旧や被災者の生活再建等に係る負担、社会経済活動への影響などの軽減につながると、こういったことなどがあると考えております。

本年の七月豪雨等で大規模な被害を受けた地域においては再度災害防止のための事業を集中的に実施をしてまいりますが、これらの事業を着実に進めるとともに、事前に行うべき防災対策が後手に回ることのないよう、防災・減災、国土強靱化のための三年間の緊急対策を含めまして、事前防災対策も着実に進め、強靱な国土づくりを進めてまいりたいと考えております。