第190回国会 参議院 環境委員会 議事録
2016年5月19日(木)
 
本日の会議に付した案件
◇地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案
◇政府参考人の出席要求に関する件

委員長(磯崎仁彦君)

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋でございます。

今日は、地球温暖化対策実行計画の推進に関しての法律、最初に、富山の環境大臣会合もこの前行われまして、環境大臣、しっかりした御答弁いただいたと聞いておりますので、大臣から最初に方針をしっかりお伺いしたいと思います。

佐藤信秋

国務大臣(丸川珠代君)

ありがとうございます。

G7富山環境大臣会合において、G7がリーダーシップを取って昨年のパリ協定等を受けて地球温暖化対策に取り組んでいくという強いメッセージを発信することができたと考えております。特に、やはり昨年の合意を受けて、今年は行動の元年あるいは実施の元年であるということについての思いは各国大変強く持っているということがお互いに確認をできました。そして、まず自分たちの国の中で削減目標に向かって実施をしていくこと、これ着実に実施をしていくことと同時に、長期の低排出発展戦略の策定についてはパリの合意の中で定められた期限より十分に前にというか、十分にその期限内に、できる限り早く策定をしていくということについても合意が得られたものであります。

ですので、一つは行動するということと、そしてもう一つは、長期的な視点についていち早く我々がリーダーシップを取るということがG7としての責任であるという意識に基づいたコミュニケとなりました。

私たちの国内においては、地球温暖化対策計画、先日閣議決定をさせていただきました。この中には、二〇三〇年度の二六%削減の目標達成に向けた具体的な道筋とともに、長期的な目標として、二〇五〇年までの温室効果ガス八〇%の削減を目指すことも書かれております。

環境省として、長期低炭素ビジョンの検討に着手をしたいと考えておりますし、今後とも関係省庁も共に力を合わせて、政府一丸となってこの計画にとって着実に取組を前進をさせてまいりたいと存じます。

丸川珠代議員

佐藤信秋君

そこで、今度の法改正で三点ですかね、啓発普及とそれから国際協力と、もう一つが、みんなで計画を作る、地方で、広域で、連携してと、こういうことですよね、今度の法律の改正の目玉は。

実務的にどうしていくかということを少し、ちょっと実務的な話で恐縮なんですけど伺いたいと思うんですけれども、まずは普及啓発関係、いろいろグラフを見せてくれているけれど、グラフじゃ分からないんだよね。説明するときにこのグラフを見てくださいって、これはなかなか多くの皆さんの前ではね。だから数字でちょっと言ってほしいと、こういうことなんですけどね。

まず、気温、産業革命前より二度C下げると。できれば一・五度Cということですよね、の上昇にとどめると、こういう目標ですけれども、これ、地球全体では何度から今何度になっていて、だからどこまで下げましょうよというのか、それから、日本の国内では気温そのものが平均何度だと、今日は暑いところは三十度超えるといっているけど、それがどのぐらいかと。その数字を参考人の方から説明してください。

政府参考人(梶原成元君)

どうもありがとうございます。

まず、温度でございますけれども、気温が標高や緯度なんかによって大きく異なるのと、それと観測所が均一にないということもございまして、世界におきましても、日本におきましても、平均の気温というのは算出していないというのが今の現状でございます。

ただ、一方で、温度変化についてはしっかりと過去の観測をベースにして、過去百年ぐらいでございますけれども、世界では〇・八五度上昇していると。日本では、ちょっと若干その年度がずれることもあるんでございますが、百年当たりで一・一四度上昇していると言われてございます。

そして目標なんですが、今先生御指摘のように、産業革命前から二度ということで、世界的には二度のところを〇・八五度上昇していると。日本の場合は、この二度のシナリオでいきますと、更に二十一世紀末には一・一度上昇するということになります。

したがいまして、今既に一・一四度程度上がっておりますので、二度よりも若干上がるというような数字になってございます。

佐藤信秋君

少し説明が分かりづらいというか、平均気温が何度か、いろんなところがあると。しかし、それはいろいろなところがあるのは当たり前なんで、だからこそ、じゃ、全体の、世界の何地点かは分かりませんよ、の平均はどのぐらいと出てこなきゃおかしいじゃない。ということは、そういう努力してね。これは、世界は、世界でみんなで集めてもらわなきゃいかぬだろうけど、日本の場合にはできるんだからということだと思います。

それともう一つは、だからいろんな場所があると、そこはそれでいいんだけれど、せめて日本の場合ぐらいには、ヒートアイランド現象、これなんかの影響もあるんだから、その分は、じゃ、どのぐらい引くかということも含めてやっていかないと、国民に説明するときに今の説明じゃ分かりづらいのよ。それは自分で分かっているだろうけどね、そういうことなんですよ。

例えば、東京の気温は、東京の気温は大手町だったかな、あれ、百年前に周りじゅうがあんなコンクリートというかアスファルト、これ、私らがやっちゃったけど、ではなかったわけだから、ビルも建っていなかった、温度が大分違う。

どのぐらいということを正確にできるだけ事実を把握しないと、今の説明ではしづらいよね、分かっているだろうけど。そういう努力をしてください。

次になんですね、CO2なんかの温室効果ガス、それじゃ、これ、どうなっているんだと、こうなるわけですよ。とすると、世界中はどうなんだと、日本の場合にはどうですと、これも産業革命前はこのぐらいだったけど、こういう変化をしてきて、今このぐらいですと、こんな説明が必要なんだと思うんですよね。国民の皆様に説明するときですよ。それはどうなっていますかね。

政府参考人(梶原成元君)

世界の排出量につきましては、今おっしゃられたように、産業革命以降非常に増えておりまして、特に最近急激に増えてございます。数字的に言うと、一九七〇年では二百七十億トンと言われているものが、一九九〇年には三百八十億トン、そして二〇一〇年には四百九十億トンという形で、今排出が増えているということでございます。

そして、目標という話になりますと、いろんな数値がありますけれども、例えば二度目標を達成するシナリオとしては、二〇三〇年で四百二十億トンぐらいにする必要があるというふうに言われておるところでございます。

我が国に照らして申し上げますと、過去ずっと遡ったところの余り数字はないのでございますが、一九九〇年には十二億七千万トン、二〇一三年は十四億八百万トンという形で増加しておりまして、二〇三〇年にはこれを十億四千二百万トンに減らすといったような目標を立てておるところでございます。

佐藤信秋君

まあ、やむを得ないね、データがないということだったら。それを探す努力はせにゃいかぬですよね。

問題は、次に、その相関関係ですわね、気温とそれから排出、温暖化ガスとの相関関係。

いろんな本を読むと、大体二百年ぐらいのタイムラグがあるとか、地球の長い歴史でいえばですよ、温度とその温室効果というかね、ガスの関係について。だけど、二百年もタイムラグがあるわけじゃないんだろうけど、実際は。そうすると、そのタイムラグ、どのぐらいあると。今まで排出した分でこのままほっておいてもこのぐらい上がるけれどと、みたいなものがあって、それで、だからこそ削減努力をしていかなきゃいけない。その効果は今年出るのか来年出るのかよく分からぬが、そういうタイムラグみたいな関係もありますわね。その辺はどうなっていますかね。

政府参考人(梶原成元君)

御指摘のとおり、温室効果ガスが増えたからといってすぐに温度が上がるというわけでもなく、また、じゃ、ずっと上がらないかというとそうでもなくて、ずっと後の方に温度が上がるということがございます。それについてのタイムラグということで御指摘でございます。

これは、温室効果ガスはいろんな種類がございますけれども、大気中に残っている時間、つまり、中には早期に分解されるものもございますし、長時間大気中に残るものもあるということで、まず温度変化に与える影響力の持続時間が違うということ。そして、温度が上がるといっても海が吸収してくれたりいたします。それによって実際の気温の上昇にはまた遅れるといったようなこともございます。

そういうことで、非常に難しくなってございますが、いずれにいたしましても、今御指摘のように、例えば一番長いものの例が二酸化炭素なんでございますけれども、二酸化炭素の場合は何世紀にもわたって影響を及ぼすというふうに言われているところでございます。

いずれにいたしましても、そういう意味では、物質ごとの、そして蓄積をされる、大気中に蓄積される量が、ある年の排出量ではなくて蓄積される量が影響を及ぼすということで、今、これはシミュレーションの世界で大変分かりにくくて、これもどうやって国民の方々に御説明していいのかというのは苦労しているところなんですが、是非そこら辺も分かりやすく伝えられるように、ちょっと努力をしていきたいと思っております。