本日の会議に付した案件 |
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇国土の整備、交通政策の推進等に関する調査
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佐藤信秋君
自由民主党・無所属の会の佐藤信秋でございます。
一月ほど前に大臣の所信に対して質問をさせていただきました。そのときに時間がなくて伺えなかった件と、それから、もう少し念押しをしておきたいなと、その後の状況の変化で、というような問題がありますので、改めて質問に立たせていただきました。
最初に、この前も大臣にもお伺いしましたけれども、一括交付金の問題が、最近の新聞を見ていますと、また更に二十三年度よりも増やすと、そして政令市等にまで拡大しようというようなことが、これは新聞の情報ですが、見させていただいています。これ実は、知事さんたちも、私の知っている限りでは公共事業費を削って一括交付金にしてくださいなんて誰も言っていない。むしろ、従前の公共事業費、インフラ投資を確保しながら一括交付金というような形で地方の単独事業を少し手当てができるようなと、こういう思いが大きかったというふうに私自身は知事さんたちからは聞いています。
そういう意味で、表の一に出させていただきました、このように出させていただきましたが、二十三年度は公共投資という面で見れば、二十二年度に対して三千億削られて、なおかつ一括交付金を含めても三千億削られていると、こういう状態で、実は私、いろんな首長さんたちともお話をしたりしていますが、いや、そんなことになったら世も末ですよねみたいなお話があらかじめありました。公共投資五・八兆、これは民主党のマニフェストで一・三兆お切りになると。これが一年間でお切りになられて、さらにそれを削った上で一括交付金五千億、世も末ですねというような感想をいただいている知事さんもいました。これは、政策目的をきちっと発揮しているか、こういう面からいくと甚だ疑問のところがあるなと。資料の二に細かい内訳等も出させていただいていますが。
例えば、今度、津波法案なんかも出していただいておりますが、ある種事業をしようとすると、最盛期にはその地域と時期に随分偏りが出て、順調に防災対策、津波対策をやろうというようなことになってくると一時期の財政需要というのは非常に大きい。そうした点を考慮しながら、内容をどういうふうに、どういう水準で政策目的を達成していくかと、こんなふうなことが必要なので、これを公共投資、既存の投資、公共投資切りながらというのは問題だろうと、つくづくそう思っています。
後藤副大臣、せっかく来ていただきました。この一括交付金というのは、政策目的をちゃんと達成しているというような形に使えているかどうかと。これは、実は今年始まったばかりで、県でもいろいろ困ったりしながらまだ十分な執行ができていない状態だとは思います。思いますが、政策目的と、こういう関係からいっていかがなものかという点についてお尋ね申し上げます。
副大臣(後藤斎君)
先生御指摘のように、都道府県、市町村含めていろんな御意見があるのは十分承知しております。
先生おっしゃるとおり、政策目的を達成しているかというお尋ねでありますが、これはもう何度も私以外の担当者からも先生に御説明をしているように、この一括交付金化というのは、地方自治体の自由度を拡大をし、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにする、地域主権改革における大きな課題だというふうに思っております。
せんだって、十一月の十一日から一週間掛けて、今年度からスタートをしました地域自主戦略交付金に関する都道府県アンケートというのを実施いたしました。その中でも、大いに評価またある程度評価という回答をいただいた自治体が約七割、そしてあわせて、より自由度の拡大が図られるよう事業メニューの拡大を図ってほしいということと、先生が問題意識を持たれているように総額確保は是非拡充をしてくれというふうなことで、アンケートの結果がまとまっているところであります。
また個別にも先生のところに御報告に行きたいと思っておりますが、いずれにしましても、この流れというものはこの評価を受けながら、また今、地域主権戦略会議や国と地方の協議の場も含めていろんな議論をさせていただいております。
その中で、市町村分についても平成二十四年度からスタートをするというふうな検討をすべきだという閣議決定も昨年実施をされておりますが、これについては、まず都道府県に一番権能、そして規模も似通っている政令市をまず二十四年度はスタートをしようということで、先生の御懸念というのは十分に理解をする部分もございますけれども、やはり地域ができるだけ責任を持って決められるという流れはできるだけ加速をしながら、あわせて先生の御懸念が少しでも払拭できるように、今予算編成過程に向けて関係省庁とも、また地方自治体とも十分議論しながら最終的に決定をしていきたいというふうに考えております。
佐藤信秋君
そこで、マニフェストとの整合性で申し上げれば、七・一兆のインフラ整備を一・三兆切った五・八兆と。この五・八兆に一括交付金を上乗せする、これなら分かりますけれどもね、これなら分かります。五・八兆プラス一括交付金幾らか、五千億か八千億か一兆円かですね、そこにプラスする。是非、そういうことでお願い申し上げたいなと、こういうふうに思っています。
市町村長たちなんかと話していますと、社会資本整備一括交付金と、こういう形である程度慣れてきた。あるいはまた、補助金そのものは、やはりこれをしっかりやらなくちゃというようなことについては補助金でという形でやってほしいという声も非常に強いんですね。
ですから、総額は増やすということと、これはもう要望です、総額を増やすということと、それから市町村長たちの意見も十分聞きながら、プロセスを経てどうしていくかということをお考えいただきたいというのをつくづくお願い申し上げたいと思いますが、いかがでしょう。
副大臣(後藤斎君)
まず、後者の市町村の意見も十分聞きながらという点につきましては、この間も市長会、町村会、また議長会も含めていろんな議論はさせていただいております。特に、一括交付金には、やはり年度間事業変動が大きいということで、できるだけ慎重にという特に町村会の意見はございます。ただし、中核市や政令市などは逆に言えば積極的な部分ございます。これを総合的に判断して、先ほどもお話ししたように、まず二十四年度は、権能また事業規模も都道府県に準じているという政令市をまず二十四年度からスタートさせようというふうに思っておりますし、またこれからも、先生御指摘のとおり繰り返しになりますが、地域主権戦略会議や、また国と地方の協議の場、また私たちも直接市長さん、町長さんにお会いになって、できるだけきめ細かに、また現場のニーズというものも十分把握しながら対処していきたいというふうに考えております。
佐藤信秋君
是非、総額増やしながら一括交付金の分を上乗せする。だから、五・八兆円に上乗せする、こういうような形でおやりいただきたいと思いますし、また制度設計の方は市町村長の意見を十分聞きながら。私は、一括交付金、地域自主戦略交付金やって一年目ですが、本音のところは、ちょっと緊急対応といいますか、ピーク時への対応という点について十分対応し切れないなというような意見が強いということを申し上げておきます。直した方がいいんじゃないかと思いますけれども。
そこでもう一つ、せっかく後藤副大臣おいでいただいているので、同様に、地方出先機関の問題を少しお伺いしたいと思います。
特に、整備局を広域連合に移譲するかどうかと、こういうような御議論もあると聞いております。広域連合は、関西広域連合が一応形としては存在はしていると。大阪の場合には、大阪府知事が市長におなりになられて、府と大阪市がどういう関係になるか。大阪都というような構想もおやりになる中で、関西広域連合ということがどういう形でまとまっていくのかというような問題もこれから出てこようかと思います。
そういう中で、整備局だけではもちろんないんですが、やっぱり国が根幹的な施設の整備、管理、運営、こういう形でやっていかないと、危機管理はもちろんですけれども、危機管理はもちろんなんですが、国の機能といいますか、あるいは国際的な競争力とか、そういう面でいくと、しっかりと持つべきものは持っておくべきだろうと。実は多少抽象論かなと、こんなところはありますが、しかしネットワークの根幹というのはそういうものなのであって、どこの国でも国がしっかりとやっていきましょうという部分は当然持っているわけであります。
今度の大震災や台風災害、水害もそうですが、でやっぱり整備局、随分大活躍をしていただきました。人数でいいますと、ちょっと調べていただいたら、東日本大震災ではテックフォース、この中にリエゾンも入っていて、市町村にリエゾン、連絡役が行く。この人たちが衛星携帯電話なんかも持っていったりして、随分お役に立っていた。やっぱり市町村長、随分と感謝しておられて、この人たちがマックス一日当たり最大で五百五十人ぐらい出ておられて、全体としては延べでいくと一万八千人、大震災では。それから、台風十二号、十五号でいくと一日最大二百七十五人で、総人数で五千人を超えると。
これはいざというときだけの問題ではありますが、平常時にきちんとした管理しながら、いざというときに動くと、これがまた大原則だと思うんですね。いきなり危機管理だけというか、そのときだけ行きましょうとか、そういうことにはなりません。特に、市町村長や地元に詳しいと、あるいは東日本大震災の場合には、発災した三月十一日の翌日に九州からも車で東北に入っているんですね。そういう機動力の問題、危機管理の問題、それから現場を知っている、あるいは市町村長や知事あるいは行政担当とつながっていると、ふだんのそうしたことがいざというときに生きると、こういう問題があります。
市町村長たちが大変今心配していまして、整備局等を広域連合に移譲と、こういうような議論だけ進められると本当に困るんだと、これはほかの出先機関ももちろんそうなんですね。きちっと評価しながらどうしたものだろうという、きめの細かい議論をしていかないと、いたずらに不安を招く。不安を招くだけならいいんですが、市町村長たちがお集まりになられると最近そういうお話を随分聞くものですから、これは報道だけかもしれませんが、ちょっと走り過ぎかなと。やっぱり、一歩一歩固めていく。地方と、市町村、基礎自治体、それから都道府県、ブロックの何らかの在り方、そして国。そうした役割分担、受皿なんかも併せて議論しながら、先行き道州制ですよというなら、道州制の姿形というのをきちっとして、その中でブロックとしての機能というのはどういうふうに持たせるか、持つのか、都道府県はどうかと、こういう役割分担の議論をしっかりしながらやっていかないと、いたずらに不安を招いて、だからこそ市町村長たち始め大変心配だなと、こういうお話を顔を見るたびに私もされるんで、それはまあちょっと伺ってみようと、こういうので、済みません、後藤副大臣改めておいでいただいたんですが。
私自身は、拙速に出先機関を廃止あるいは移譲、これはやるべきではないと。全体の姿形をどうするか、国や地方の役割分担の形をどうするか、基礎自治体をどうするか、こういう議論を踏まえながら、ステップ・バイ・ステップでいくべき議論だし、本来、危機管理というような機能を持っている整備局を廃止や移譲というのはとても考えられないな、やってはいけないなと、こんなふうに思いながら御質問申し上げるわけですが、特に市町村長たちが大変に心配しているというのも実態でありますので、その辺よくよく意見聞きながら、ステップ・バイ・ステップでやっていくんだということを是非お答えい
ただきたいと思いますが。
副大臣(後藤斎君)
先生おっしゃるとおり、国と地方、地方の中でも都道府県、基礎自治体というふうに当然今機能分化、役割分担がされているというふうに思っておりますし、私たちもいたずらに地方の皆さん方の不安を惹起をして進めるということは毛頭考えておりません。
ただし、先生も御案内のとおり、過去いろんな議論が出先機関を含めてございました。いろんな議論がある中で、やはり国と地方の役割分担をまさに先生おっしゃるようにどうしていくのか、そして、住民に近い部分でやはり意思決定をした方がいいだろうという意見もたくさんございました。そういう中で、私どもは現在、昨年末の閣議決定をされたアクション・プランに基づいて、その方向感を地方また関係省庁とも議論をしながら取りまとめているところであります。
先生がお尋ねのような関西広域連合は、法的には広域連合として認められている部分であります。そういう意味で、関西並びにそれに準じた形で九州広域連合的なものがございますが、そこの二つの大きな固まりからは、先生御案内のとおり、経済産業局、地方整備局、地方環境事務所の三事業、三省庁の出先の部分を移譲をして自分たちの広域連合でやりたいという発意は既にいただいております。
そういう中で、これからまさに政府の中でも関係省庁とも議論をさせていただいておりますが、先生お尋ねのように一番多分課題として大きなものの一つは、緊急時、本当に大きな災害のときのオペレーションをどうするのかと。先生おっしゃっておられるように、平時からその積み重ねをしないと、緊急事態になったときだけにその機能が発揮をできないという御指摘も当然議論をする中でも大きな視点として出ているものであります。
それをどう適切にオペレーションがまず運営主体としてできるかということは、これから年末また来年に向けていろんな議論を政府の関係省庁とも十分議論をいたしますし、また市町村長を始め地方の皆さん方ともその部分については、先ほど一括交付金の部分もそうですが、地域主権戦略会議、また国と地方の協議の場、いろんな多様な意見がございますので、そういう部分と十分協議をしながら、先生がおっしゃるように、地方の皆さん方が不安の中で突入をするのではなくて、地方の皆さん方にも理解をしながら前に向けて進めていくというのが私どもの役割だというふうに思っていますので、先生の御指摘は十分承って、これから政府の中、また地方とも協議をしてまいりたいというふうに考えております。
佐藤信秋君
この問題ばっかりで時間が大分過ぎてしまいましたが。
広域連合というのは、選挙で選ばれた首長さんがおられるわけではない、選挙で選ばれた議会があるわけではない、予算として独立したものを持っているわけではない、歳入歳出、そういう中での議論ですから、まあちょっと乱暴過ぎるなということを申し上げながら、後藤副大臣十分お分かりだと思いますが、申し上げながら次の質問に入りたいと思います。
大臣、八ツ場ダム、これだけの大震災以来、今の御議論もそうですが、大震災以来といいますか、やっぱり危機管理というのは大事なことなんだなと、想定外とは言いながら想定できる範囲というのがまあかなり広々、広めに考えなきゃいかんなと、これが行政、政治の責務だと思いますが。
そういう意味で、八ツ場ダム、地元の皆さん、それから一都五県の知事さんたち、大変、一日千秋の思いで早く決めてくださいと、着手を決めてくださいと、こういうように待っておられると思いますが、一言だけで結構ですが、御決意をお願い申し上げたいと思います。
国務大臣(前田武志君)
一番の専門家であられる佐藤議員からの、全てを、経緯もお分かりの上での御指摘でございます。
十月二十七日の国交委員会でも、このことの進捗具合ということで御質問がございました。あれから一月以上たつわけでございますが、おとつい、関東地方整備局において、事業評価監視委員会ですか、それが開催されて、その結果を踏まえて、昨日でしょうか、関東地方整備局での事業継続という結論が妥当だということを、外部の有識者が入ったこの検証委員会の結果を踏まえて、国交省の本省にその報告が上がってきていると、このように承知をしております。それを受けて、今日の夕刻ですね、有識者委員会が開かれます。その有識者委員会というのは必ずしも一回ということではなしに複数回行われると承知しておりますが、その結果を踏まえて、大臣において予断なき検証を終えた上で決断をさせていただくというふうに思っております。
佐藤信秋君
早急に事業再開と、こういうふうに多分おやりいただけるものというふうに勝手に解釈しまして、次に参りたいと思います。
時間がありませんので、資料を用意しました。スーパー堤防の議論ですが、資料の四を御覧いただくと、東京都民あるいは、特にこれは江戸川の例を出していますが、実はゼロメートル地帯というよりはマイナス五メートル地帯、こういうところが結構あるんですね。万一浸水する場合には、例えば学校でさえも一階が水没八十校、二階が水没五校、大変な被害が出る。六十八万人の江戸川の人口で三十七万人が何とか収容できるかと、こういうことですから、そうすると二、三十万人が、三十万人ぐらいですね、どこに避難できるかという議論になる。だからこそスーパー堤防というのは、もちろん堤防強化、治水の問題もちろんですが、ある区間できたって意味ないじゃないのかと、こういう議論ではなくて、それこそ安全な高台、避難所を造ると、こういう効用を持たせながらやっていく、こういう議論だと思います。
時間がございませんので、勝手に私の方でこう申し上げて、あと二分なものですから、済みません。
そこで要望です、次。さっき、ミッシングリンクの話がありました。命の道。事業化して、これ多分十年とか十五年かかると、先ほど十三区間を事業着手と、こういうお話ありましたが、十年か十五年ぐらいはかかるだろうなと、早くてもですね、ということでありますから、ミッシングリンク全体をいつごろまでに解消しようというか、そんな目標を是非お作りいただきながらやっていっていただければと思います。
私自身、二十年ちょっと前ですが、高規格幹線道路網の計画なんかを作るのに多少携わらせていただいた。そのころは、二十一世紀初頭というのがですね、今ごろには概成できるかなという目標を立てて、残念ながら随分遅れ遅れで恐縮です、いつも私は外に向かっておわび申し上げているんですけど、是非あと十年、十五年というような目標をお作りいただきながらやっていただきたいと思います。
時間がありませんので、せっかく用意した資料、ちょっと御覧いただいて、鉄道・運輸機構の利益剰余金の問題であります。資料の五に、一兆二千億円の特例業務勘定の活用をすると、その代わりにJR北海道、四国、九州、貨物、あるいはまた整備新幹線の着実な整備や並行在来線の支援、こういうことでやっていこうということになっております。三区間について、整備新幹線三区間について是非早く着工の決定をと、こういうふうにもお願い申し上げたいと思います。
時間が参りました。あと一言だけ、今度の大震災と水害で、JR関係随分やられています。伺いますと、東北だけでも三千億とか、また只見線入れたら三千五百億とか、オーダー的にはそういうようなオーダーの災害復旧費が必要だということでもありますので、そういう部分もお考えいただきながら、JRに対する支援といいますか、約束事でもありますから、そこに更に復旧等に差し支えがないような支援ということも是非国交省の方でもお考えいただきたいということをお願い申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。
ありがとうございました。
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