国土交通省が今回の震災を受けて、全国の地方整備局などに送付した工事一時中止の通知について、被災地以外の地域で一部誤解が生じている問題が24日の参議院国土交通委員会で取り上げられ、国交省が今回の通知の考え方を改めて明示した。国交省は、「東北地方整備局が被災前までに発注した工事については原則、一時中止」で、同局発注工事以外については「応急復旧に協力するために必要な場合に工事を一時中止できる」とした。佐藤信秋参議院議員の質問に、池口修次副大臣が答えた。
国交省は、今回の地震を受け、被災して施工できなくなった工事についての工事契約書第20条第1項に基づく一時中止命令と、同第2項に基づく被災していない工事でも調査・計画検討・工事への対応が必要な場合の一時中止命令を15日付で全国の各地方整備局などに送付した。あわせて、全国の都道府県・政令市にも同様の通知を16日付で送付した。
これら通知について、「被災地以外の地域についても、すべての工事を一時中止する」といったような誤解が一部で生じていることを佐藤議員が指摘。
池口副大臣は、建設業界による災害復旧への活動に敬意を表した上で「(一時中止の通知で)若干、誤解が生じている」とし、「東北地整の発注工事は原則中止とし、そのほかは、応急復旧に必要な範囲で必要に応じて中止として、都道府県にも要請した」と説明した。通知における一時中止の対象は、東北地整の発注工事と、そのほかの整備局管内の工事の施工者で緊急復旧に対応するるため受注した工事が施工できなくなる場合との趣旨であることを明示した格好だ。東北地整管内であっても県発注の工事であれば原則、一時中止の対象ではなく、県の判断によることになる。
東北地整以外の一部地域で、資材不足で工期内に完成できない場合も一時中止になるとの声も上がっているものの、緊急復旧に対応するために工事を一旦中止しなければならない場合以外は、工期の延長など通常と同様に工事請負契約書の範囲内で状況を踏まえ受発注者が対応を協議することになるとみられる。