トップページ > 国会活動 > 質疑応答集(2010/3/11)






174回国会 予算委員会 第10号
2010年3月11日(木) 午前10時開会

本日の会議に付した案件
◇平成二十二年度一般会計予算
 (内閣提出、衆議院送付)
◇平成二十二年度特別会計予算
 (内閣提出、衆議院送付)
◇平成二十二年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)

佐藤信秋君
 自由民主党・改革クラブの佐藤信秋でございます。
 今日は、亀井大臣お忙しいようでありまして、最初、冒頭に亀井大臣に御質問を申し上げますが。
 今、秋元議員も言っていました、地方を回ると大変な状況だなと。やっぱり東京と大分違うんですね、ここは。特に中小企業、あるいは農林水産業や建設産業はみんなそうですが、これは大変な厳しい状況になっている。
 そうすると、つなぎ融資、これは、中小企業は本当に助かったとは言っているんですが、これから先を見通すと危ないですよね、これ。見通しが悪くなると、つなぎ融資にも応じてくれない。物すごく金融機関の態度が渋くなっていますよね。
 それで、もう一つは今度の予算。これは実需を、内需を増やさにゃいかぬのですね、今の時期は。需給ギャップが三十五兆円ある、まあ四十兆円ぐらいになっているのかもしれませんが、あると言われています。だれが埋めるのか。埋め手がいないんですね。今度の予算で埋まるか。これはおいおいいろいろ議論していきたいと思うんですが、埋まらない、逆だ、こういう予算じゃないかなと。
 ですから、私は地方を回っていますと、これはどうしたって早期に、早く予算の追加、あえて申し上げれば早期の補正予算を組む必要があるだろうと。そうでないと、これ、地方はとんでもないことになりますよ。ですから、よく実情の分かっている知事や市町村長は、実は自分たちで内需を起こそうというのでかなり無理して、地方財政計画とは別に、違って、いろんな手当て、事業を起こそう、継続しようと努力しているんですね。ですから、結果としては地方財政計画で公共事業費は一五%減と、こういうふうに言っていますが、実態は大分違ってくると思います。
 ただ、それにしたって追いかけ切れません。そうすると、景気対策をどうするんだ、雇用対策をどうするんだ、つなぎ融資といいますか資金繰りの問題と、この二つ、亀井大臣に、特に大急ぎで大きな補正せにゃいかぬということについて、端的にはそういう返事は大臣、しづらいでしょうけれども、でもこれ大事なことなんで、多分与野党問わず、地方で実態をよく御覧になっておられる先生方はみんなそう思っていると思うんです。亀井大臣、御答弁。

国務大臣(亀井静香君)
 議員は国交省在職時代から、人のための道路、人のためのコンクリート、国民のための国交省の行政について全力を挙げてやっておられたというように私は承知をいたしております。今は議員という立場で、国民生活について、日本中を駆けずり回って実態を押さえられて、どうするかと。残念ながら野党になってしまったので、なかなかあなたのそうした思いがダイレクトにやっていけないというもどかしさ、お感じであろうと思います。心から同情を申し上げておるわけでありますが。
 私は、議員御指摘のように、昨年の例の中小企業金融円滑法、このときから申し上げておりました。当面の金繰りを楽にするからといって問題は解決をしない、もうかるような形で仕事がやはりどんどん出ていく状況をつくらなければ解決にならないということを、私は本会議でも委員会でも申し上げてきました。私は、今いわゆるモラトリアム法案を実施をいたしましたけれども、金繰りだけではどうにもならない。今深刻なのは、倒産はそれによってちょっと減っているという評価もありますが、自主廃業、もう先に望みが持てないというところが非常に今激増しておるわけでありまして、事態は極めて深刻であります。
 議員御指摘のように、どうしてこの内需を出していくか。外需に今すぐ頼ることができない状況においては、もう子供が考えても分かるのに。そのための予算編成について菅大臣も大変御苦労をされて、そうして今御審議いただいておるわけでありますが。
 私は、福祉経済という、従来自公が残念ながら余り力を入れなかった分野、個人を大事にする、家庭を大事にする、その所得をです。こういう面では私は極めて優れておると思いますが、しかし私は、福祉経済というのは、そうした経済に対するてこ入れという面からいうと言わば漢方薬的などうも感じが強いわけでありまして、当面のこのデフレスパイラルともいうべき状態から脱却するためには、議員御承知の、アメリカはあんな財政状況で七十兆の緊急出動をやり、七〇%は公共事業ですね。中国もそうです、六十兆のこれも公共事業です。そういうことをやっているときに、日本がどういう福祉経済に力を入れると同時に内需を出していくかという、もう今我々としては避けて通れない課題だと思います。
 そういう意味で、菅大臣が財務省をひっぱたいていろいろ苦労しておられますけれども、私はこの予算を早期に成立をして速やかに執行していくと同時に、じゃ、今後どういう対策を取っていくかということについてやはり財源をしっかりしていくと。財源なき政策は絵にかいたもちであります。それをしっかりした上で、私は大胆な、本当に大胆なことをやらなければ脱出をできない、このように考えております。

佐藤信秋君
 ちょっと歯切れが最後、大規模な補正予算が必要でしょうと、こういうふうに申し上げておりまして、速やかに予算を執行するにしても、次の手を今のうちからやっていかないと、とてもじゃないが経済はもたない、こう思いますが。亀井大臣、お忙しいようでございますので、今の分を伺ったら、もうちょっと歯切れよく、大規模補正をやるんだと、こう一言言ってくださるのが有り難いところですが。

国務大臣(亀井静香君)
 本予算を議員、一日も早く上げていただく、その後、今申し上げましたように、この執行だけで大丈夫なのかどうかということを与野党を問わずやはり議論をして、後は聡明な菅大臣が御判断をされて、打つべき手を私は菅大臣打たれると思いますよ、私はそのように確信をいたしております。今補正だなんて言いましたら、これは大変な話になりますので申し上げません。よろしいですか。

佐藤信秋君
 明確に言っていただきたかったんですが。
 じゃ、引き続き、仙谷大臣にもこんな状況を考えていただきながら御質問をしますので、後で。
 亀井大臣、どうぞ。元々、亀井大臣、お忙しいところを無理やり来ていただいたので、今日はこれで結構です。
 財務省に御質問したいと思うんですが、菅大臣、要所要所で伺いますので、副大臣、政務官から御説明いただければ結構だと思います。
 資料の一に我が国の税収の推移というのを財務省資料から載せさせていただきました。平成十年に比べて法人税、ここでは五兆落ちていますが、国税、地方税全体では十五兆落ちているんですね。十五兆の中で法人税五兆、実は地方税の方も、地方の法人二税の方も随分落ちていますから、法人関係で入り繰りはいろいろありますが、十五兆も落ちたと、国、地方合わせて。この主な原因といいますか要因というのは何だろうという点について、財務省の見解をお伺いしたいと思います。

副大臣(峰崎直樹君)
 お答えをしたいと思いますが、今お話しになった、税がどうして減ってきているのかという意味でいうと、私は一つはやはりこの間の減税政策というものも非常に大きかったというふうに思います。さらに私は、やはりデフレというのは名目の金額を減らしていく作用を持っていますから、当然のことながら、御存じのように所得税も、所得はたしかちょうど十年前に比べて百万円ぐらい減っているんじゃないでしょうかね。一人当たり平均すると労働者の賃金が百万円減っていると。これも実は非常に大きな要因だろうというふうに思います。
 そして、この法人税の問題に関しても、やはり私は、この間課税ベースが非常に狭まってきているという要因、さらに税率を少し四〇%ぐらいから下げてきておりますので、そのことも加わり、さらに昨今の特にデフレ経済という下における不況の影響というものも非常に深刻であるということが総合的に出てきているんではないだろうかというふうに考えております。

佐藤信秋君
 法人もそうだけれども所得の方も減っていると、こういう話で。
 ちょうど、済みません、前原大臣に来ていただいているので。
 実は、質問じゃないんですけれども、積算とか工事出したりするときに、発注するときに設計上の労務単価というのがあるんですね。これで実は十年間で平均でですけれども、二万二千円が一万六千円ちょっとになっている。これ、どういうことかというと、年収でいうと五百万が三百七十万ぐらいになっていると、こういうことなんですね。これはデフレスパイラルそのもの。それで、公共工事がどんどんどんどんダンピングでしわがどんどん寄っていくんですね。三百万ちょっとで一家四人養えるか、こういう議論なんです。これはやっぱり深刻な問題なんですね。それで税収も上がらない、こうなる。
 おまけの果てに、建設業は後で言おうと思ったんですが、地方の建設産業は、大臣は御覧になっていると思いますけれども、四十七都道府県で全部です、本店所在地全部平均したら三十三が赤字なんですよ、平均がですよ。中小企業はマイナス一・三%。これは地方の建設産業。こんな状態で法人税が払えるわけがない。そこがちょっと言いたかったんですが、議論は後の方にします。私ばかりしゃべっていると時間がなくなりますので。
 そこで、税外収入、来年、二十二年度税外収入十兆円使うというんですが、財投特会四・八兆円、外為二・九兆円、これ資料二に財務省の資料を付けています。これで空っけつになるんですね、これも。何も、底なしになっちゃう。貯金でもないんです、これは。貯金でもなくて、本当は使っちゃいけない金なんですが、使わざるを得ない、国債発行するよりいいということで使おうと、こういうことなんだと思いますが。
 まず、財投特会、これ、本当にもう空々になりましたというのをちょっと説明してください。

大臣政務官(大串博志君)
 お答え申し上げます。
 この資料二もいただきましたが、二十二年度予算においては、税外収入、ぎりぎりの努力を行うということで過去最大十兆六千億円ということでございます。財投特会に関しましては四・八兆円でございますけれども、ストック分の三・四兆円の積立金、これは全額を、これは三・四兆円を活用しながら、さらにフロー分、剰余金として入ってくる部分に関する一・四兆円、これも一般会計へ繰り入れると、こういうことで、今おっしゃったように、財投特会にある積立金はこれ基本的には使っていくという形にしております。

佐藤信秋君
 実は、これは本当は禁じ手ですよね、財投のストックゼロにするというのは、積立金の。禁じ手でしょう、法律的にもそうですわね。ちょっとそこを。

大臣政務官(大串博志君)
 お答え申し上げます。
 事実関係を問われましたので事実関係をお答えしましたが、いわゆる特別会計等々の積立金あるいは埋蔵金と言われるものに関して、私たち、今回の二十二年度予算に関してはできるだけの努力をしていくということで、税外収入として取り込んでまいりました。
 この中にも、一回限りで使い切ってしまうストックの部分もあれば、いろんな金利差等々から毎年一定程度生まれてくるものもございます。さらには、今回いろんな基金等の返納ということで、これまでたまっていた部分を一般会計に返してもらうということを行ったものもございますが、更にまだまだこの点において見直しを行っていける部分もあると思いますし、この基金の見直しを行うことによってフローの歳出を見直せるという面もあろうかと思います。
 こういうことも含めて、基本的に恒常的な歳入を得られるように行っていくというふうに考えてやっていきたいと思っています。

佐藤信秋君
 歳入見直しというよりは、これはもう財投特会法で千分の五十超えた分は基金に入れてもいいと。だけど、千分の五十どころか、要するに五%どころか〇%になっちゃうわけでしょう、来年。そこから先は、財投そのものの運営がちゃんとしていけるかどうかという問題は当然あるわけだけれど、それでなくても、ここからはもうびた一文出てこない。それで、おまけの果てに、これ自体は本当は積立金があるわけじゃないから、貯金があるわけじゃないから、財投債発行するか、やりくり算段しながら、実際問題としてはですよ、だから隠れ国債と前も民主党から御批判たしかいただいたんですよね。同じことじゃないですかね。そこのところ、どうですか。

大臣政務官(大串博志君)
 ありがとうございます。
 財投特会に関しましては、先ほど私がお話しした中でも特に金利差から剰余金が生まれてきているという性質にあるものでございますので、毎年毎年一定の剰余金があるという性質のものでございます。千分の五十というレベルを定め、これをどういうふうに評価するか、これは時の評価によっていろいろあろうと思いますが、私たちは基本的に財投特会に財務の健全性が疑われないようにやっていきたいと、この考えは一つ置いております。
 それと、積立金を一般会計に取り入れるがゆえに財投債の増発になるかどうかと。これは、財投特会、財投という箱の中にはいろんなお金の出入りがあります。貸出金の増、あるいは回収金の増減、あるいは財投債の償還、あるいは預託金の払出し、いろんな出入り出入りがあった上でのそのうちの一つの項目でございますので、必ずしも一般会計に積立金を繰り入れるからといって財投債が増発されるという一対一の関係にあるわけではございません。

佐藤信秋君
 基本的には玉突きで財投債出さざるを得ないと、こういうことだと思うんだけど、まあそこはあれです。ただ、ゼロになる、これは大事な事態でしてね、ゼロになる。
 それから、外為特会、二・九兆出すと、こう言っているんだけど、こっちの方がもっと危ないですわね。これ今評価損が何兆出ているか、外為のね。これ、貸借対照表に出ているんですよ。それを言ってくださればいいんですが、ただこれ、じゃ、ぶれたらどうしてくれるんだと、こういう議論が、ここまで出していいんですかという話なんですが、どうですか、政務官。

大臣政務官(大串博志君)
 委員がお示しいただきました先ほどの資料でも、外為特会からも二・九兆円の剰余金の活用ということを二十二年度予算で行っているということを申し上げていただいております。
 これは事実でございまして、外為特会、今お話のありましたように、現在の為替レベル、当時の、そのときの為替レベルによって含み損が生じるという、まあ益にもなりますし損にもなりますけれども、現在の為替レベルであれば約二十兆円オーダーの含み損があるというような状況にございます。
 ただ、これは評価損でございまして、実現損ではございません。実現損が実現するときというのは、例えば会社を清算するときのように、外為特会を清算するときにはこれは実現するわけでございますけれども、そうではないので、評価損として認識すべきだというものでございます。
 ただ、おっしゃったように外為特会の健全性というものがございます。ここは為替の並行取引を行うところでございますので、この健全性に配意しながら、さはさりながらいろんな金利差等との関係で生まれてくる剰余金もございますので、これを国民のために使っていくということに関しては適切なレベルで予算の中に盛り込んで考えてまいりたいというふうに思っております。

佐藤信秋君
 ということで、財務大臣、今お聞きのとおりなんですよね。この二つは税外収入とはいいながら、もう来年度以降期待しちゃいけませんというか、むしろ戻さないかぬ事態が生じかねない、こういう問題なんですよね。財務大臣、聞いていていかがでしょう。

国務大臣(菅直人君)
 そのこと自身は私も予算編成のときにかなり意識しておりまして、本当にぎりぎりの努力をしたということであります。
 あえて言えば、これはこの後の議論になるかもしれませんが、先ほど亀井大臣もおられましたけれども、ぎりぎりのやはりこの経済状況の中では、規模としては前の政権に比べて小さな予算を組むという発想ではなくて、ぎりぎり国債の方の信認も維持しながら、しかしトータルとしては、規模としては、景気に対してはやはり刺激的なスタンスは継続しなきゃいけないという中で、この税外収入に対してもそうしたぎりぎりの努力をしたということは是非御理解いただきたいと思います。

佐藤信秋君
 したがって、基本的には国債発行四十四兆円と言っているけど、五十三兆円ぐらい出しているんだと、こう理解しないと駄目だと思うんですよね、もうこれ以上使えないんですから。そして、地域財政計画立てる上でもそこのところはきちっと押さえないと何やっているか訳分からない、こういうことになるんですね。仙谷大臣、いかがでしょう。

国務大臣(仙谷由人君)
 おっしゃるとおりだと思います。
 さっきから佐藤さんのお話で、地方が疲弊しているから公共事業どかんといこうというふうなニュアンスも感じられますんで、そこはもう是非御辛抱をいただきたいと改めて思います。

佐藤信秋君
 そういうことを言っているんじゃなくて、これが、いやまあ、そういうことですけどね。
 しかしながら、実は子ども手当に公立学校の無償化とか、実質、随分しわがほかに寄っているんですね、しわが寄っている。そこの批判自体は、子ども手当や無償化に対する批判自体は同僚議員がいろいろやっていただいていますが、私はしわの方をやりたいと。そして、しわの方もできるだけ、せっかく要求してやらなきゃいけないけど、こんなにあるんだけど、財務大臣がうんと言ってくれさえすればできるのにと、こういうトーンでお願いしたいと思うんですけどね。
 そこで、デフレも脱却せにゃいけません、さっきのあの税収の話もありました。どうやったら脱却できるんだろうというのがあったんですね。これはまあ短期的な課題ですが、長い目で見たときに本当にどうすりゃいいんだろうという議論だと思います。
 これは財務大臣と仙谷大臣から、それぞれいい方策があるかどうか、是非教えていただきたいと思います。

国務大臣(菅直人君)
 私も、デフレの宣言というのか、した前後を含めて今日までいろいろ、まあよくやったというよりは、どちらかというと、宣言をしてちゃんと対応ができているのかという批判的な御意見もいただいています。
 もう議員御承知のように、デフレの状況というのは日本では別に昨年始まったことではなくて十年余り続いていて、たしか一時期、小泉政権のころ若干良くなりましたが、それでも脱却までは行っておりません。
 そこで、当然ながら、幾つかの事柄を併せてやらなければならないと思っております。言うまでもないことですけれども、需給ギャップをどのようにして一方で埋めるかということで、この間、一次補正を一部凍結したことでいろいろ御批判いただいていますけれども、二次補正を含めて二十一年度の予算も決してそう小さくしたわけではなくて、できるだけ雇用と需要を生み出すようなところを重点を置いて二次補正も組みましたし、二十二年度の現在審議いただいているこの予算も、どちらかといえば需要を生み出す、雇用を生み出すというところに重点を置いて提案をさしていただいております。
 また、昨年暮れに発表した新成長戦略も、従来の、これを言うとちょっと佐藤先生とは意見がもしかしたら違うかもしれませんが、公共事業依存で確かに効果があった時代もありましたが、同世代ですから、東京―大阪の新幹線なんて非常に効果があったわけですが、その後八〇年代に入ってからは、本州―四国の橋なんていうのは造るだけの効果はあったけれども、造ったものが大きなものを生み出したかというと率直に言って効果がなかった。そして、小泉政権下はデフレ状況でそれをより、何といいましょうか、促進するような構造改革という名のデフレ促進策をやってしまいましたから、もっと悪い状況になったと。
 そういった意味で、この新成長戦略では第三の道、雇用、需要を生み出すところに重点的に、財政配分も含めて、その中でデフレを脱却して、二〇二〇年度までの平均で名目成長率三パー、実質二パー、インフレ率結果として一パーというものを目指していこうと思っております。
 と同時に、言うまでもありませんが、日本銀行との一体的な方向性を持っていかなければならない。日本銀行も昨年の十二月一日に一つの方向を出し、またその後、プラスゼロからプラス二という目安という言い方でインフレの、ターゲットという表現にはなっておりませんが目安を示していただいております。
 それを実現できるかどうか、まだ見通しとしては実現できるというところまで政府見通しは行っておりませんが、いろいろな努力をすることによって、私としては、政府と日銀が共通の目標を持つことでできれば今年中にはプラスに、インフレ率といいましょうか、それが転化するようになることを目指していろんな手だてを打っていきたいと考えております。

国務大臣(仙谷由人君)
 このデフレ論ですが、私自身は、この十年間の言わば金融財政政策自身はデフレ政策ではなくて、むしろリフレと言う人もおればディスデフレと言う方もいらっしゃるように、やっぱり伝統的な観点からいうと、私に言わせれば相当のインフレ政策を取ってきたと。ところが、デフレ的な状況が全然収まらないという十年間であったと見ております。
 これは、やっぱり日本の置かれた地政学的な環境から、どうも需給ギャップの話も一国的なところで考えても決着が付かないんではないかと。つまり、こここそ、ボーダレスになってアジア的に需給バランスがどうなっているのかというふうに見ると、物の世界では圧倒的にやっぱりこれは供給過剰というふうに言うべきではないかというふうに私自身は思っています。
 ところが、日本で、先ほど菅大臣もおっしゃったみたいですが、需給バランスが反対に、今度は供給が不足していて潜在的な需要が相当あるというのは、やっぱり医療、介護、保育、あるいは農業あるいは林業というふうな第一次産業のところと第三次産業のところは、やっぱりむしろ供給が適切な、つまり欲しいもの、つまり潜在的な需要が満たされるような供給がないんだろうなというふうに見ておりまして、やっぱりここは、一つはアジア規模での、つまり国内でそれぞれが割と小さい争いを、小さい争いと言ったらしかられますけれども、相当立て込んだ過当競争をするんではなくて、ここはまとまってアジア市場に出かけていくというふうな、これはマクロ政策ではなくてミクロの政策を政府が後押しするというふうな元気の出るような政策を展開しなければ、ちょっとこのデフレ状況、収まらないんではないかというふうにも思います。
 それからもう一つは、第三次産業のところが活性化してくるように、ここは家計部門をまずは安定的に刺激をすることから始めて、あるいはもう一つは、規制を改革をして、つまり例えば保育が産業として成立し得るようなというふうなことも考えてやっていくしかこのデフレ状況は収まらないと、あるいはバランスが取れてこないというふうに見ております。

佐藤信秋君
 抽象的な御議論なので、これ具体的にやっていかなきゃいかぬのだと思うんですね、大急ぎで。
 子ども手当でいえば、生まれた子が年間三十一万の借金をしょって未来に向かって育っていくと、こういう構造ですよね、全部借金ですから。そこを、家庭の雇用、父親、母親、両親の雇用とどうやってバランス取っていくかというのが余りにもバランスの欠け過ぎた予算だなと、つくづく私はそう思っています。
 そこのところだけ議論をするつもりでもないので、いかにそれでしわが寄っているのかという点について、各それぞれの政策の中でですね、資料三というのを用意しました。平成十年度の決算に比べてというので、それぞれ大きな項目別ですけどね。
 そこで、今日はちょっと大臣にはお忙しいようで来ていただいてないんです。政務官の方で、実は要求する立場として、政務官、それぞれの各省は要求する立場なんですよね。それで、財務省と総務省、予算上の問題でいえば、そこのそれぞれにしっかりとこういう政策を打たないと大変なことになるぞということをきちっと、どしっと言わにゃいかぬですね。
 今日はそういう要求する立場で、まず厚労省の予算、随分しわが寄っていると思いますが、どこがしわが寄っていて大変なんですか、ちょっと言ってください。

大臣政務官(山井和則君)
 佐藤委員にお答えを申し上げます。
 来年度予算で子ども手当、六月実施を今目指しております。それで、佐藤委員おっしゃるように、この子ども手当によってほかの予算にしわが寄ったのではないかということですが、私たちは今回の子ども手当というのは歴史的な大きな転換期だと思っております。なぜならば、欧米諸国に比べてやはり日本というのは、医療、年金、そして介護というものはかなり先進国レベルに肩を並べておりますが、この子育て支援に掛ける割合というのは非常に低かったわけですね。
 そういう意味では、やはり今までの人生後半の社会保障、老後に向けた社会保障に重点を置いていた社会保障を、二本柱で、やはり人生前半の社会保障と二本柱でやっていくべき歴史的な転換期が来たんだと思っております。そういう意味では、確かに来年度予算では多くの子ども手当の予算を割いておりますが、これは残念ながら今まで後回しになってきた部分を固定しているわけでありまして、これによってほかがしわ寄せを受けてきたとは思っておりませんし、逆の言い方をすれば、今まで、残念ながら子育て支援というのはしわ寄せを日本の政治の中で受けてきたのではないかというふうに思っております。
 その意味では、来年度予算においては、年金、医療、介護等の社会保障の関連費については必要な予算は自然増を含め所要額の全額を盛り込んでいるところでありますので、しわ寄せが行っているというふうには認識はいたしておりません。

佐藤信秋君
 心にもないことを言っちゃ駄目なんだよね、しわ寄っているに決まっているんだから。
 大体、保健衛生対策費、総額では二%減っているでしょう。こんな二%削ってちゃんとやれるの、やれるんですか、ちょっと答えてください。保健衛生対策費、二%減なんですよ。そんなのでやっていけますかと。

大臣政務官(山井和則君)
 佐藤委員にお答えを申し上げます。
 例えば、医療の診療報酬におきましては十年ぶりのプラス改定。もちろんネットの〇・一九%ですから十分だとはまだまだ思っておりませんが、それでも十年ぶりにネットプラスできた。これは多くの地域医療にとっても雇用の場を創出するというふうに思っておりますし、道路とともに医療、病院というのは非常に重要なインフラだというふうに思っております。
 また、年金についても、今まででしたら過去二年しかさかのぼれなかった納付を過去十年さかのぼって納付できるようにして、これによって約四十万人の無年金の方が救われる可能性もあるというふうに、医療、年金、保育、介護、めり張りを付けてやっていっておりますので、ほかのところに、改めてになりますが、しわ寄せが行っているというふうには思っておりません。

佐藤信秋君
 二十三年度に向けて足りないものは足りないと言っておかなきゃ駄目だと思うんですよ、正直にね。
 それで、じゃ、一つだけ聞きます。
 特別養護老人ホーム、待っている人たくさんいますよね。これ全国で、菅大臣、四十二万人待っているんですよ。だけれども、こんなもの二年も三年も掛かっていたら亡くなってしまうでしょう、お亡くなりになられる方が出てくるでしょう、たくさん。どうするのかと、こういう問題について、例えば。お答えください。

大臣政務官(山井和則君)
 私も介護の問題に取り組んでおりますので、この待機の高齢者の多さというのは問題だというふうに思っております。
 今、入所申込者は全国で四十二万人でありまして、その中で一番切実な入所が急がれる在宅の要介護四、五の方は六・七万人おられます。これに対しまして、過去三年間、平成十八年から二十年度で約八・一万ベッドの特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームなどが整備されておりましたが、我が政権におきましては、平成二十一年度から二十三年度の三年間、同じ三年間におきまして、約倍の十六万ベッドを増やすという方針で、そのような財源の裏打ちもいたしております。
 これについては、地方自治体がなかなか財政的にもついてこれないというようなこともありますが、この待機児童のゼロ作戦、そして特養の待機者を減らしていく、このこともしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

佐藤信秋君
 今の、特養の手当てしていると言ったけれども、予算的にはどうなっているんですか。

大臣政務官(山井和則君)
 お答えを申します。
 これは、平成二十一年度の第一次補正予算で三千億、これ交付金を積んでおりますし、これについては、三十人以下の小規模特養やグループホーム、そういうことについて今後三年間の交付金を積んでおるところであります。

佐藤信秋君
 その交付金というのは予算的にはどこに計上されてあるんですか。三年間の交付金というのはどこに計上されてあるんですか、十六万床分。

大臣政務官(山井和則君)
 都道府県の基金として積んでおります。

佐藤信秋君
 都道府県の基金としてどういう形で積んでいるのかというところまで詰めていくと、ちゃんとして積まれているかどうかというのはあるんだが、交付税で見ることになっていますわね、一〇〇%。交付税で見た分がどれだけ後で戻ってくるかというか、面倒見られているかというのは実は分からない。だから、公共団体はまともにはできないなとみんなそう思っておる。今日は総務大臣お呼びしていませんが。したがって、十六万床計画ですと、ちょっと冗談よしてくれ、積み上げてみなきゃ分からぬわと、こういうことになるんですね。
 二十一年度、十六万床のうちどれだけできる予定ですか。

大臣政務官(山井和則君)
 それについてはまだ把握はしておりません。
 ただし、このことについては、御存じのように私たちは、介護職員の賃金引上げということで、今八〇%の介護事業者の賃金を平均約月一万五千円上げるという交付金もやっておりまして、やはりこれは、老人ホームが増えない一つの理由は介護職員が集まらないということもありまして、この介護職員の賃上げに非常に力を入れておりますし、同時に、これはなぜ特別養護老人ホームや施設が必要かというと、在宅福祉がまだまだ立ち遅れているということでありまして、この辺りについては、二十四時間体制、三百六十五日体制で在宅福祉を充実させていく、こういう在宅と施設整備とセットでやっていかないと、どんどんどんどん施設だけ増やすということでも駄目ですので、やはり望めば、施設に行きたい方は施設に行ける、在宅で最後まで暮らしたい方は在宅で暮らせると、そういう介護を進めていきたいと思っております。

佐藤信秋君
 二十一年度どのぐらい進んでいるかは分かりませんと、もっともな話なんですよ。人任せになっているわけですよ。政策になってない。だから、補正できちっとした国費を積むから地方費も出してね、これだけ進めようねと、こういうやり方でやっていかないと進んでいかないですね。みんな交付税で面倒見てくれると、だれも丸々見てくれるなんて思ってないんだから、地方の経営者といいますか公共団体の知事や市町村長はね。だから、どうしたってそういう国費が必要だ、補正が必要だと、こういうふうな展開にしてもらわなきゃ駄目なんですね。これは政策をちゃんと遂行していく上でですよ。
 時間がなくなってきたんで、文科省の話。公立無償化で三千九百億円増額しましたと。だけど、経年変化見ていただくと、文科省も随分と文科予算って削られていますわね。それで、今度の科振費で二%減、今までさんざん一生懸命やってきたけれども。
 文科の鈴木副大臣、来ておるのかな。大変厳しいですよと、いろいろやらなきゃ駄目なんです、やりたいことがやれませんという答えをひとつ是非下さい。

副大臣(鈴木寛君)
 お答え申し上げます。
 もちろんやりたいことはいっぱいございますけれども、委員御指摘のように、今年は文教関係予算は、対前年度比八・一%増の三千百九十一億円増になっております。しかしながら、高校実質無償化分が三千九百三十三億円でございますので、既存の予算分は約七百四十億円の減額となっております。
 加えまして、今回いろんなことを新規でやっております。例えば教職員定数の大幅改善でこれ九十三億円増。大学奨学金も、事業費規模で申し上げますと一兆円超えという拡充。それから、国立、私立大学の授業料減免を一挙に八万五千人授業料減免をする、これで三十四億円の増。それから、医学教育を通じて医師等の人材確保対策、あるいは大学病院の機能強化ということで十四億円増ということをやっておりますので、既存の分はそれ以上の減額となっているわけでありますが、じゃ、そこはどこから出てきたかというお尋ねだと思いますが、大きく言うと二つございます。
 まず、委託事業とかいろんな事業が細切れで、県が文科省からメニューが来るんでややお付き合いをしていたという部分がありますので、それを大ぐくり化あるいは統合化することで、モデル事業あるいは委託調査費というものを真に必要なものというふうに見直した、これが百億円弱ぐらい、八十四億円弱ぐらいでございます。
 残りは、基本的に人勧の影響とそれから教職員手当、それから、それにある意味で連動した大学の人件費等の調整と。つまり、公立の小学校、中学校の教員、あるいは大学の教員、教職員の一人頭の単価を抑えて、その分を高校生の授業料減免、あるいは大学生の奨学金の拡充あるいは授業料の減免、それから大学病院に通ってこられる患者さんのために振り向けた、こういうことで今年の予算を組ませていただいたと、こういうことでございます。
 もちろん、公立の小学校、中学校の教員の給与も一定程度確保しなきゃいけないということはあるわけでありますが、教員よりも高校生、あるいは教員の数を増やすことで一人当たりの教員が面倒を見る子供の数を減らすことで教育の質を充実させていきたいと、そのことが教員の多忙感の減少にもつながるということで、思い切って四千二百人の増ということをやらせていただいたと、こういうことでございます。

佐藤信秋君
 実は、随所に厳しいなという部分があって、アジアが大事ですよ、東アジア大事ですよと、こう言うんなら留学生の問題なんかもきちっとやっていかなきゃいけない。今大体十三万人ぐらいですかね、留学生が。それに対して予算というとなかなか厳しいと。これ、減額になっていると思うんですけど、ちょっとそこら辺の数字を教えてください。

副大臣(鈴木寛君)
 留学生につきましては、大きく申し上げますと、国費の留学生と私費の留学生がございます。国費の留学生につきましては対前年度比マイナス三・八億円の仕上がりで二百十六億円。私費につきましてはプラス〇・五億円の仕上がり七十九億円ということでございまして、足しますと二万四千七百七十五人が二万四千六百二十四人ということで、〇・六%減少と、こういうことになっております。

佐藤信秋君
 イギリスが四十万人ぐらい留学生を受け入れていますよね。留学生受入れを増やそうと、こう言いながら、やっぱり留学生に対する支援と、それから寄宿舎の問題もあるんですね。せっかく大学へ受け入れようと思っても寄宿舎がないというか、高いアパートとても入れない、こういう問題があって、そういうところに対する手当てというのもやってやらなきゃいけない。この辺はどんなふうに考えていますか。

副大臣(鈴木寛君)
 おっしゃるとおり、寄宿舎につきましては、留学生向けの寄宿舎でございますけれども、留学生が安心して勉学に励んでいただくためには、低廉で良質な宿舎を確保してあげなきゃいけないというのはおっしゃるとおりでございます。特に、自力でなかなか宿舎を見付けるというのは大変でございますので、特に来日してから一年以内の留学生については、やっぱりきめ細かく対応してあげなけりゃいけないというふうに思っております。
 その対応といたしましては、大学の宿舎自体を整備するということと、それから民間の宿舎を大学があっせんして確保していく、それから、大学ではありませんけれども、公的宿舎の空きを効率的に活用するといったようなことをやっていきたいと、このように思っております。
 それで、今留学生会館という意味では一万八千四百六十七ぐらい受入れがあるわけでありますけれども、公益法人が六千九百五十四、大学が設置する学生寮が六千八で、三万一千四百二十九ぐらいはキャパとしてございます。
 具体的には、日本学生支援機構の国際交流会館、それから独立行政法人日本学生支援機構が民間宿舎を借り上げるときの支援、それから留学生宿舎を大学が共同して利用できる教育関係共同利用拠点、それから留学生住宅総合補償というもので応援をしながら民間アパートを入居すると。それから、大学への優遇措置や手続の簡素化によるURの賃貸住宅、公営住宅の入居促進、これ非常に重要だと思っておりますが、こうしたことを取り組むことで、留学生十三万三千人のうち三万一千、先ほど申し上げましたけれども、二三・七%が公的な宿舎に入居していると、こういうことでございまして、更に委員の御指摘も踏まえて充実させていきたいというふうに思っております。

佐藤信秋君
 一分前に終わらないかぬので、ちょっと急ぎます。
 資料の四に日本の雨の変化かいてあります。これ、随分と雨の量そのものは少なくなったけれどもぶれが大きくなったと、こういうことなんですよね。安心、安全のためには、雨の問題でいえば治水も利水もちゃんとやらなきゃいけない、ますますと、こういうことであります。資料の四ね。
 資料の五、公共投資水準の国際比較。これ、でっかいでっかいと言われていて、随分と、昔、財務省やいろいろ、大き過ぎるじゃないかと、こう言われましたけれども、見てください。もう先進国はみんな伸ばしているんだけれども、公共投資、日本だけこうやって削っているから大変なことになってという状態だということを指摘しておきます。
 乗数効果、公共投資と所得税なんかを比べると、これ資料の六です。これについて御説明ください、内閣府の資料ですから。

大臣政務官(津村啓介君)
 佐藤委員の御質問にお答えいたします。
 御説明くださいということでしたけれども、ポイントとなる点かなと想像するところを推測しながら、ポイントとしてお答えしたいと思います。
 当委員会でも、この間、この短期の計量モデルをベースに、公共投資の乗数が減税あるいは家計への給付の乗数と比べて非常に大きいというふうに一見見えることを根拠に、公共投資の方が家計への給付に比べて日本経済ないし社会にとってプラスであるという議論がなされることがあるようにお見受けいたします。しかし、こうした議論は二重の意味で誤った議論でありまして、公共投資の経済効果については、このマクロ経済モデルにおける公共投資の乗数効果が、こうやって名目の方は一・二と一年目なっていますけれども、これが一より大きいと、そして個人所得税だと〇・二五だと、四倍以上じゃないかというふうに表面的に見えること、こういった議論にこの経済効果の議論を矮小化すべきではないというふうに思います。
 何となれば、公共投資の場合は、これは定義によりまして、その中身が何であろうと公共投資として支出されたものは一〇〇%、これはそれがたとえどんなに全く無駄なものであっても、中長期的に全く生産性の向上に寄与しないものであっても、それはその年のGDPには一〇〇%計算されるという、そういう定義になっております。しかし、これはGDP統計の言わばくせというか特性でありまして、これをもって日本経済にそれだけ意味があるということを意味するものではありません。
 片や、更に申し上げますと、家計への給付が日本経済、日本社会に与える効果について、こうした個人所得税の乗数効果なりあるいは子ども手当等の様々な試算をなさる方もいらっしゃいますが、その乗数効果が公共投資よりも小さいという面からとらえるのは極めて不十分な議論だというふうに思います。
 少子化対策を進めることによって生産年齢人口が中長期的に増加をすること、それによって経済社会が活性化をされて中長期的にこの国の富が増加していくという効果が期待されると、このことは非常に重要なポイントだと思います。個人の視点で見れば、家計への給付が日本の経済社会に与える効果というのは、単にその年の民間消費支出、ひいてはGDPへの数字的な効果で測られるべきではなくて、例えばその支出の中身が何であるのか、そしてその残余の貯蓄がその後どういう形で支出をされているのか、そういったことに目を向けなければなりませんし、そういった個人の生活あるいは日本社会にどれだけの意味を持つかをもって測られるべきだと、そういうふうに考えております。

佐藤信秋君
 今のような説明で平均で一・七四と〇・七一の違いが説明できるわけがないということだと思います。中身がない、こういう話です。
 資料九に飛びます。公共事業関係国費、実はこれ全体を、今の予算上既に地域に分けているんですよね。離島と奄美がひどく落ちている。これは財務省と各省が一緒になって、結果こういうふうにしましたと、こういうことなので、財務省と国交のそれぞれから、どうしてこうなったか、離島の振興というのはどうしてくれるんだという問題に対してお答えください。

国務大臣(前原誠司君)
 元次官にお答えをいたします。
 一番初めにお話をされた議論というのは、私極めて大事だと思っておりましたのは、この国が果たして財政面で持続可能なのかという問題意識を非常に強く私は持っております。バブルのときでさえ一番多かった税収は六十兆円余り、しかも二年間しか続かなくて、あの二度と来ないであろうという好景気のときでさえ財政赤字を生んでいたということからすると、日本の財政そのものの欠陥が私は大きな問題になってきていると。(発言する者あり)離島、はい、分かりました。まあその前提で離島の話を。
 なぜその話をしたかといいますと、これは佐藤委員が一番御存じだと思いますが、離島は昭和五十年から平成十七年まで、三十年間でこの離島対策費というのは三兆八千三百九十九億円のお金が使われております。これは多くが公共事業でありますけれども、人口が六十六万六千人から四十三万四千人、つまり三五%減っていると、こういうことであります。つまりは、三兆八千億円余りのお金を使っても人口減少の歯止めが掛からないという状況があるわけですね。
 地方に行くと、これはどこでも同じなんですけれども、働く場所というのは役所か農協かあるいは建設業しかないというような状況で、別に私は公共事業がすべて悪いと申し上げているつもりはありませんけれども、新たな産業というものを地域につくってこなかったというところが大変大きな問題なんだろうと思います。
 したがって、この離島対策についても、お金が減っているということは、全体の予算が減っていますのである面仕方ない部分はありますけれども、その中身の精査というものをどうしていくのかということ、そして、働く場所がなかったらみんな流出するわけですよ、人口が。その中身を、やはり私は額で議論するんではなくて、中身をどうして若い人たちが働けるような場所をつくるような施策を講じていくのかということをしっかりこういった場でも議論をさせていただきたいと思っております。

副大臣(峰崎直樹君)
 お答えいたしたいと思うんですが。
 いや、佐藤委員とは、たしか次官のときにもよくお話をしたときには大変いろんな多面的で愉快な方だなと思っていたんですが、今日のお話を聞いていると、すべてがこの公共事業に収れんしていくような感じの話が多くて、ちょっとやはり私たちとは考え方が違うのかなと思ったりしますが。
 今、前原大臣がお答えになったことで私は尽きているように思うんですが、ただ私、ちょっともう既に公共事業のGDPに占める比率そのものがフランスよりもやや下がるところまで来ていると。そうしたときに、地方の声として私が聞いている限りでは、やはりこれ以上進むことがどうなのかなというときに、実はメンテナンスの部分ですね、特に過去造った様々な公共物がございますが、これは新しく造り直すよりもメンテナンスをした方がその後のいわゆる投資効率が非常によろしいという効果があるように聞いております。さらに、日本の都市あるいは地域の町づくりなどはどんどんやはりもっともっと改革されてしかるべきだと。そういう意味では、新しい、このいわゆる従来型の公共事業というものもそういう形へと、ある意味では需要をしっかりと見付けていくということが私は必要になってきているんだろうと思います。
 だから、そういう意味で大きな転換をすると同時に、コンクリートから人へという我々のスローガンがありますが、そうしたときに、これまでは地域の公共事業というのが結果的には実は雇用を支えていたといった面も率直に言ってあると思います。その意味で、この雇用をどういう場でどういう産業で支えていったらいいのかと。時には、それを産業構造の転換をするときには、やはり失業対策といいますか雇用政策、積極的雇用政策を私は取っていくべきだろうというふうに思っています。
 先ほどお話しになった離島の関係について言えば、確かに金額的に今年は減っていることは間違いありませんが、ここは少し幅広に、地方交付税の非常に大きく増えている問題だとか、そういう総合的なやはり財源の中で物事を考えていただきたいなというふうに思っております。

佐藤信秋君
 とても納得がいきませんが。
 ついでに要望ですが、財務大臣、離島なんかのガソリン税ぐらいはまけてあげたらどうでしょう、今度の税制改正で。

国務大臣(菅直人君)
 民主党としての議論の中ではそういう議論もありまして、ヨーロッパでは消費税を島は安くしたり減免したりしているということもありまして、是非検討課題に入れていきたいと思っています。

佐藤信秋君
 これは是非やっていただきたいと思います。資料の十に離島が守っている日本の排他的経済水域の図を載っけました。是非お願いしたいと思います。
 時間がなくなりましたので、前原大臣に対する御質問はまた国土交通委員会か何かでじっくりとやらせていただくことにしまして。
 仙谷大臣、早期勧奨退職といいますが、本当にできますかね。ここが非常に難しいところですよね、定員考えたら。その辺、ちょっと一言お願いします。

国務大臣(仙谷由人君)
 公務員、ちょっと時間も余りないようですので簡単に申し上げますが、天下りのあっせんを根絶した上で要するに退職勧奨をできるかと、こういう質問だと思います。
 つまり、退職勧奨をするためには天下りをあっせんし、そこにお土産というかネギカモというか、要するに予算を付けてあっせんをしない限りできないと、こういう慣行というか認識というか意識が広範に霞が関と永田町に存在すると。そんなことが、それを根絶することができるのかという根源的な質問だと思いますが、私は、やっぱり公務員の世界も、これは天下りにひもを付けてというか、予算を付けて天下りをさせていくということは絶対にやめなければいけないと思うんです。
 よく見ておりましたら、各省、各局、各課でやっぱり業務の繁忙というのは随分あるなというのが、私、与党になって改めて分かりました。そういう観点からいきますと、独法も含めて、やはりこれは横異動ができるようなシステムを考えなければいけない。そして、でき得るならば、民間との関係でも横異動が相当自由闊達にできるようなシステムを開発する。
 それから、今度の公務員制度改革についての改正案で、幹部人事のところだけ、これはある種の縦の異動というか、実質的に降ろされたとか外されたとかいうふうに感じられる方もいらっしゃるような人事をできるような、要するに幹部人事の一元化というのを行いますけれども、そのことによって、人事を何というんですか、活性化していくと。活性化することによって、後輩といいましょうか、年の若い方々のやる気を生み出していくと。そのためにも横異動も大いにさせて、そのラインの局長さんとか部長さんの席を空けてもらうときは空けてもらう、次官の席も空けてもらうときは空けてもらうということをしなければいけませんので、何とかその工夫を官房長官、それから行政刷新部局共々、ない知恵をひねって、絞ってやってみたいと思います。

佐藤信秋君
 大体八千人から九千人採用して三千人から四千人勧奨退職している。うまく計算が本当に回らないんじゃないですかということを最後に伺って、お答えください。最後に伺って、私の質問を終わります。

国務大臣(仙谷由人君)
 私は、民間の職場がどこまでいわゆる官僚の方々を、ひもが付いてない、利権が付いてない、それから交付金というか随意契約が付いてないとかいう中で採っていただくわけですから、これは能力本位に採っていただかなければなりません。それで、なおかつ私どもがあっせんをしないということでありますから、あるいはお役所があっせんをしないというシステムでありますから、これは人事院も含めて研修の仕組みとか、あるいは公務員の皆さん方の意識の変更というか、転換ということも大いに必要だろうと。
 しかし、それをやらない限り、日本はすべての世界でこの問題が、つまり職種変更とか、あるいは極端に言えば第二次産業中心の社会から第三次産業中心の社会に変わるときのこの悶絶の苦しみを乗り越えられないと。これは映画でいえばまさに「フラガール」の世界だと、こういうことだと思います。

佐藤信秋君
終わります。